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 mRNA ワクチンが社会に浸透し、新しいモダリティーとしての核酸医薬が認知されるようになったが、その機能を発揮するためには薬物送達システム(Drug Delivery System: DDS)は欠くことのできないものである。しかしながら、モダリティーの進歩発展に比べて、DDS には未だ開発の余地が残されており、世界で開発競争が盛んに行われている。その中でも我が国は、DDS 研究において世界のトップランナーとして認識されており、多くの研究者が DDS 研究に取り組んでいる。特に、徳島大学にはオリジナリティーの高い DDS 研究を行っている研究者が多く在籍しているため、これらを集結させることによる革新的な DDS 開発が期待できる。そのため、我が国発の革新的 DDS 開発を目指して、徳島大学の DDS 研究の集約と国内 DDS 研究者および製薬関連企業との連携のための拠点形成を目的として「DDS 研究センター」を設置する。さらに本センターは、薬学部専門科目「コア DDS 講義」および「研究体験演習」と連携することで、学部低学年からの DDS 教育を実践するとともに、博士課程・博士後期課程大学院生による DDS 研究を支援することで、次代の DDS 研究者の育成を目指す。
 DDS研究センターは、「送達担体・技術開発」「物質動態制御機構に基づくDDS担体・ルート開拓」および「免疫応答制御」に重点を置いています。これらの領域の研究開発を進展させるために、「送達技術開発部門」「薬動力学部門」および「免疫応答制御部門」を設けています。「送達技術開発部門」は、ナノテクノロジーを基盤としたペプチド・オリゴヌクレオチド等のモダリティーに最適な送達技術の開発研究を目的としており、大学院医歯薬学研究部(薬学域)衛生薬学分野の小暮健太朗教授と大学院医歯薬学研究部(薬学域)薬物治療学分野の金沢貴憲教授が担当しています。「薬動力学部門」は、生体内における物質動態制御機構の解明に基づく、新たなDDS担体やルートの開拓研究を目的としており、大学院医歯薬学研究部(薬学域)創薬理論化学分野の立川正憲教授と稲垣舞助教が担当しています。「免疫応答制御部門」は、mRNAワクチンでも問題となっている送達担体やモダリティー、添加物等による望まれない免疫応答を制御するための技術開発研究を目的としており、大学院医歯薬学研究部(薬学域)薬物動態制御学分野の石田竜弘教授、安藤英紀准教授、高田春風特任助教が担当しています。
  本センターは、研究開発だけでなく、教育にも取り組んでいます。すなわち、薬学部で行われている専門科目「コアDDS講義(1年生)」および「研究体験演習(1年生)」と連携することで、学部低学年からのDDS教育を実践しています。また、大学院博士課程・博士後期課程の学生によるDDS研究や学会発表を支援することで、次代のDDS研究者の育成を目指しています。
  さらに、DDSを世に送り出すために不可欠な製薬関連企業との連携にも取り組んでいます。すでに令和5年5月26日にDDS研究センターのキックオフシンポジウムを実施しましたが、四国東部に拠点を置く製薬関連企業の研究者の方々にも多くご参加いただきました。公開シンポジウムだけでなく、製薬関連企業を対象としたクローズドでの勉強会や研修会なども予定しており、積極的な連携を行っていきます。
  本DDS研究センターは、徳島大学の学長裁量経費、研究クラスター、SDGs推進に係る連携創出の場形成支援事業、基幹経費(高度な専門職業人の養成や専門教育機能の充実)事業(iTEX事業)のご支援により運営されております。
センターの設置に伴い、センターの運営に必要な事項を規定するため、新たに「徳島大学大学院医歯薬学研究部 DDS 研究センター規則」を制定する。
施行日は、センター設置予定日の令和5年4月1日とする。
令和5年
大学院医歯薬学研究部薬学域教員会議審議
令和5年
大学院医歯薬学研究部教授会審議
令和5年4月1日
徳島大学大学院医歯薬学研究部DDS研究センター設置
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